香川県とはどのような場所でしょうか。
こちらの記事では、香川県の特徴や食文化について紹介していきます。

香川県の特徴

香川県は県土の面積が日本一小さく、その約半分に讃岐平野が広がっています。自然災害の少ない温暖な気候で、弥生時代から農耕文化が発展してきました。
雨が少なく、川から海までの距離も短いため、かつては水不足が深刻でしたが、県内にため池が数多くつくられ、農業はその水を大切に使って営まれていました。

香川県の食文化

今回は東讃地域、中讃地域、西讃地域、島しょ部に分けて、それぞれの食文化を紹介します。

<東讃地域> 古くから受け継がれてきた伝統的なお菓子

旧讃岐国の高松藩の領土だった東讃地域では、讃岐高松藩の五代藩主・松平頼恭(よりたか)が温暖小雨の気候がさとうきび栽培に適するとして、平賀源内にサトウキビの栽培を命じ、試作させたことがさとうきび栽培の始まりと言われています。現在は、東かがわ市の引田周辺の限られた土地でしか栽培されていませんが、高品質の三盆糖で作られる千菓子は、上品なお茶請けとして好評を博しています。

徳島県鳴門市との県境に位置する引田地域の「うずまきもち」も古くから受け継がれてきた伝統的なお菓子です。「うずまきもち」のうずは、鳴門の海を表しており、江戸時代に引田の漁師が鳴門との漁場争いに破れた際、鳴門への思いを込めてつくったといわれています。
現在は、「引田ひなまつり」がおこなわれており、そこで「うずまきもち」も飾られ、祝いの日を華やかに彩っています。

<中讃地域> 農村の季節に合わせた料理

讃岐平野が広がる中讃地域は、かつて河川の水量が乏しかったため、数多くのため池で農業用水を確保していました。稲刈りが終わる秋から冬にかけては、池の水を抜く「池干し」がおこなわれ、ため池からコイ、フナ、ドジョウなどの淡水魚が豊富に獲れます。6~7月頃になると、産卵期前のドジョウでつくる「どじょう汁」が美味しくなる季節です。ドジョウとごぼうや里芋などの野菜、打ち立てのうどんと共に大鍋で煮込む夏バテを防ぐスタミナ料理です。

米の裏作では小麦が栽培されており、農家では、小麦粉を水で練ったうどんや団子は季節の変わり目や祝い事でふるまわれるハレの日の料理でした。香川県では、麦を刈る5月から田植えをする6月にかけて農繁期を迎え、半夏(はんげ・7月2日ごろ)になると、できたばかりの新しい小麦粉で「はげ団子」をつくります。できたばかりの小麦粉でつくる団子はつるりとした光沢があります。「はげ団子」という名前は、半夏に食べることや団子の表面にあんがまだらにつく様子から名付けられました。

<西讃地域> 瀬戸内海の恵みをふんだんに使った料理

西讃地域は、香川県の西南端に位置し、南東は讃岐山脈を境に徳島県、愛媛県と接し、北西は瀬戸内海に面しています。観音寺市の西にある燧灘(ひうちなだ)には伊吹島が浮かんでおり、カタクチイワシの好漁場で、江戸時代後期いりこ漁がおこなわれています。漁獲された30分後にはいりこを蒸しあげるので、内臓をとらずともえぐみがなく、美味しい出汁がとれます。「いりこ飯」という食べ方があり、米に、頭と内臓をとり除いたいりことキノコ類やゴボウなどの野菜を入れて炊き込んだご飯で、出汁の香りやいりこの旨味を味わうことができます。

また、瀬戸内海では数多くのエビが豊富にとれます。三豊市の宇賀神社では、五穀豊穣に感謝する秋祭り「どぶろく祭り」が毎年開催されており、活きの良い芝エビを使った「えびみそ汁」が振る舞われます。エビは頭と尾を取り除いて塩水で洗い、殻をむかずにボウルに入れ、米のとぎ汁と一緒にミキサーにかけます。残りのとぎ汁は鍋に入れ火にかけ、エビを加え、混ぜながら煮立たせたあとに白味噌を入れ、20分ほど弱火で煮ます。さいの目に切った豆腐を加えさらに煮ます。「どぶろく祭り」で食べることができた時もありましたが、近年では家庭でも作られ受け継がれています。

<島しょ部> 島々が生んだ独自の料理

小豆島では、毎年5月3日に「肥土山農村歌舞伎」が開催されています。これは江戸時代から続いており、農業用ため池の完成を祝って始まったとされる伝統行事で、県の無形民俗文化財に指定されています。観客は家族や親戚で分け合って食べる「わりご弁当」を持参し、歌舞伎の演目の合間などに食べていました。
「わりご弁当」は、長方形の木箱を中ほどから斜めに二つ割りにした形のものが多く、昔から2個1人前とされていて、20~30人前を負い紐のついた黒塗りの木箱に納め持ち運ぶようにしており、平安時代から使用されてきたといわれています。現在も「中山農村歌舞伎」が開催され、「わりご弁当」を持ち寄って食べています。

瀬戸内海に浮かぶ塩飽諸島の一つである志々島では、昔朝食に茶粥を食べていました。田んぼがなく米を収穫できない塩飽の島々では、古くからこの茶粥を常食としており、今でも一部の島民に食べられています。米は魚を売って手に入れる貴重品で、茶粥は米を「食い延ばす」ための手段でした。二段階発酵させた茶葉を使用するため、深い渋みと酸味があり、調味料がなくても美味しく食べることができます。

同じタグの記事を見る

#移住 #香川県