タクシーの営業スタイルの一つに「流し営業」があります。「流し営業」とは実際に道を走りながらお客様を探す方法ですが、何も考えずに走らせていては売上も上がりません。戦略的に「流し営業」をしていき、売上をアップさせていくことが重要です。工夫一つで稼ぎは大きく変わってきます。ここでは「流し営業」のコツをご紹介します。

タクシーの営業スタイル

タクシーの営業スタイルには、大きく分けて以下の3つがあります。

  1. 「流し営業」・・・走りながらお客様を探すスタイル
  2. 「付け待ち(待機)」・・・駅やタクシー乗り場でお客様を待つスタイル
  3. 「予約・配車」・・・お客様からの要請でお迎えにいくスタイル

「付け待ち(待機)」は、タクシーが順番にお客様を乗車させていくスタイルなので、お客様を選べません。お客様の中には近距離を希望する方もいれば、遠方まで行く長距離の方もいます。何十分も待機して、やっと乗車したお客様がワンメーターの近距離で、すぐにまた並び直しということもよくある話です。一方で「流し営業」はドライバーが自分からお客様を探していくスタイルです。ニーズのある駅や乗り場で待つのも戦略の一つではありますが、自分で動いてみることで、お客様をキャッチできる場所やタイミング、穴場などを見つけることができるかもしれません。

「流し営業」で稼ぐポイント

乗務経験を重ねていくと、お客様が現れる場所や時間帯がなんとなくわかるようになってきます。天候、季節などを考慮して、お客様が現れるタイミングなども感覚的に備わってきます。また、先輩ドライバーにも積極的に聞くのも一つの方法です。それらの情報をもとに自分で経験していくことで、稼げるポイントが次第にわかるようになってきます。

ポイント1 人の多い場所に車を走らせる

まずは人の多い場所に車を走らせてみましょう。例えば、会社が多い場所や飲食店が多い場所、お金持ちの多い住宅地、さらにはバスなど公共交通機関の便が悪い場所や、歩くのが辛い坂がたくさんある場所などがタクシーの利用客が多いといわれています。これに時間・季節・天候などの要因をあわせて試行錯誤していくと、どこで「流し営業」をするのが良いかわかるようになってきます。新人ドライバーでもこの流れはつかんでおくと、売上が上がらない日があっても、そこに行けば売上が見込めるということを把握しておけば安心して働けるようになってくるでしょう。

ポイント2 時間帯を意識して車を走らせる

タクシーの利用客が多い時間帯はいつかを理解して、出勤時間や休憩時間を取ることはとても大事です。「朝夕の通勤・通学の時間帯」「高齢者の通院の時間帯」「終電がなくなった後…」などが基本的にお客様の多い時間帯です。また、雨予報の日は特に出勤時の利用客が見込めるため、出勤時間を早めたりという努力も必要でしょう。タクシー運転手は割と自由に出勤時間や休憩時間を取れるため、そのぶん、こうした稼げる時間帯の意識を持つことがポイントです。

ポイント3 急な天候不良のときは人が多い場所に向かう

天気予報では晴だったのに雨が急に降ってきた、そんなときはチャンスです。傘を持たずに駅で立ち往生している方も多く、需要が増すときと言えるでしょう。また、道端で急な雨に困っている方もいます。なるべく大きな道路を通りながら、人の集まる場所に向かうとよいでしょう。天気予報は毎日欠かさずチェックし、定期的に雲行きを確認してみる習慣を付けておきましょう。

ポイント4 電車が止まったときは駅に向かう

不謹慎かもしれませんが、電車が止まったときはチャンスです。ふだんはタクシーを使わない方でも、利用するのがこのときです。そんなとき、電車が止まって人があふれていることを知らず、別の場所で待機していたらもったいないです。「流し営業」や「付け待ち」のときなどは、ラジオを流すなどして、日ごろから交通情報を収集する習慣をつけましょう。

ポイント5 イベントのある場所に向かう

日常的に需要のある駅やオフィス街、飲食店以外に、イベントなどで人が集まる場所を押さえておくことも大切です。例えば、スポーツやライブ、展示会、お祭りなど、さまざまなイベント情報を日々チェックしておきましょう。そのイベントの前後の時間帯で、駅やイベント会場付近を狙って「流し営業」をするとよいでしょう。

ポイント6 走行速度を落としてゆっくり走ってみる

新人ドライバーの悩みとして、「お客様が見つからない」「お客様が見えない」という方がいます。それはもしかしたら運転する速度が速いのかもしれません。速く走っていると、お客様を見つけ出すのも大変ですし、タクシーに乗りたいと思っているお客様からしても、つかまえにくいタクシーだと思われてしまいます。また、事故の防止にもつながります。「流し営業」のときは焦らずゆっくりと走らせることを心がけてください。

ポイント7 車間距離を空けて走ってみる

「流し営業」のときは、前方車両との車間距離をキープして走ってみましょう。事故防止の観点もありますが、これもお客様を乗車させるためのテクニックの一つです。お客様はタクシーを探すとき、前面の「空車」の表示を見て探します。「空車」の表示を見つけやすくするためには、ゆっくり走るだけでなく、前方の車両に表示が隠れてしまわないように、車間距離を十分に空け、ゆっくり走らせるようにしましょう。

ポイント8 信号待ちで先頭に止まる

交差点で信号待ちをするとき、なるべく先頭に止まることで、「空車」の表示を目立たせることができます。もともと交差点には立ち止まっている人が多く、タクシーを探しているお客様も多いため、交差点の先頭で止まることは有利と言えます。ただし、これにこだわりすぎて交差点進入時で急ブレーキをかけ、事故を起こしてしまっては本末転倒です。あくまで信号が黄から赤に変わりそうなときは、なるべく止まるという意識でいるとよいでしょう。

ポイント9 複数車線の場合、左車線をキープする

「流し営業」の基本は左車線を走ることです。お客様は必ず歩道にいて、歩道に近いのは左車線ですので、複数車線の場合は必ず左車線を走りましょう。それだけでもお客様の見つけやすさが全然違います。とくにお客様は交差点で手を挙げてタクシーを止めようとしますので、交差点を曲がるときは、お客様を乗車させやすいように必ず左折で曲がるようにすることもポイントです。

ポイント10 お客様が降車した後をイメージする

稼ぐドライバーはタイムロスが少ないのも特徴です。例えば、お客様を目的地で降車させた後の行動をイメージしておくというのも一つの方法です。お客様の目的地が駅であれば、そのままその駅で「付け待ち」し、次のお客様を待つ方がいいのか?利用者が少ない駅なら、近隣のターミナル駅まで移動するのがよいか?住宅街であればどこまで出れば人通りが多いのか?など、お客様から目的地を告げられた時点でイメージできていると、目的地に着いた後のタイムロスを少なくできます。

これまでに紹介したポイントの積み重ねが、売上アップにつながる要素となりますので、ぜひ、効率よく「流し営業」を実践してみてください。

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