「相乗りタクシー」という言葉を聞いたことがありますか? 簡単に言うと、同じ方向へ移動したい人同士をマッチングして、一台のタクシーに「あいのり」して移動するサービスであり、日本では一時期、実証実験が行われました。ここでは「相乗りタクシー」のしくみやメリット、デメリットについてご紹介します。
「相乗りタクシー」のメリット
「相乗りタクシー」とは、配車アプリを利用して、同じ方向へ移動したい人同士をマッチングし、同じ一台のタクシーにみんなで同乗して移動するというサービスです。運賃は同乗者どうしで折半されるため、通常よりも料金が安くなることがメリットです。また、一台のタクシーに複数のグループが乗り込むことで、タクシー自体の移動距離が削減されるため、運送の効率化と生産性の向上が見込めます。
タクシーは一度の運送で一つの運送契約を結ぶことになっており、降車地の違うお客様どうしを複数人乗せることは認められていませんでした。しかし、2018年の1月から3月までの間、国土交通省により実験が行われ、2021年11月より「相乗りサービス」制度が導入されました。
「相乗りタクシー」のしくみ
「相乗りタクシー」は専用の配車アプリを使った事前予約制です。目的地を入力すると同じ方向に行きたい人をアプリがマッチングして、ルート上で相乗りしていくというしくみです。運賃に関しては距離制運賃を採用し、距離に応じて料金を折半するようになっています。アプリ上で計算をしてくれるため、乗客同士で割り勘をする必要はありません。
「相乗りタクシー」のデメリット
「相乗りタクシー」の大きな問題点の一つとして、成約率の低さが上げられます。国土交通省の調査結果によると、東京都での実証実験の結果では、マッチングの申し込みをした5,036名のうち、実際の利用者は494名で、マッチングの成約率は約1割でした。また、同乗者とのトラブルが心配だという声も上がっています。タクシーの車両という密閉された空間の中で、まったく知らない人と一緒になることに不安に感じる方も多いようです。また、降車する場所によっては、自宅の住所を知られてしまう危険性もあるため、プライバシーの観点からも不安だという声が上がっています。
このように、「相乗りタクシー」の実証実験の結果として、利用者へのメリットも大きいですが、一方でさまざまな課題も浮き彫りとなりました。サービス解禁はまだ先ですが、今後、課題を解決され、サービスが開始されれば、これまでタクシーを利用していなかった顧客層も獲得できることが見込まれ、タクシードライバーも利用者も、どちらにもメリットのあるサービスとなりそうです。