国土交通省は2019年10月に、新たなタクシーの運賃料金体系として「事前確定運賃」を認可しました。この「事前確定運賃」というしくみは、どんなシステムで、利用者やタクシードライバーにとって、どのような影響があるのでしょうか。
ここでは「事前確定運賃」についてご紹介します。

「事前確定運賃」について

「事前確定運賃」とは、タクシーに乗車するにあたり、事前に運賃を確定させるシステムのことです。専用のタクシー配車アプリに、出発地と目的地を入力することにで、複数のルートが事前に掲示されるようになり、ルートを確定させると事前に運賃を算出することが可能となりました。

運賃はどうやって決まるか?

アプリ内で事前に入力した乗車地点と降車地点から走行距離を割り出し、基本の運賃を計算します。そこに地方運輸局が定めた係数をかけ合わせた金額が、「事前確定運賃」として算出されます。係数は、曜日や時間ごとに道路の混雑状況などを考慮して設定されています。なお、トラブル防止のため、支払方法はネット決済のみとなっています。

「事前確定運賃」のメリット

タクシーの運賃は、走行距離や時間によって決まります。そのため、渋滞に巻き込まれた場合はその分の時間も運賃に加算されてしまいます。しかし、「事前確定運賃」のサービスが導入されることによって、距離だけでなく交通事情をふまえた時間も割り出されるため、実際の料金に近い運賃が事前に算出することができるようになりました。実証実験の結果では、誤差は0.6%程度という結果が出ています。「事前確定運賃」のサービスを利用することによって、渋滞に巻き込まれたとしても運賃が変わらないため、金額を気にしなくてもよくなることが最大のメリットと言えます。また、タクシードライバーにとっては、お客様との運賃トラブルがなくなり、利用者が増えることにつながれば一石二鳥となります。

タクシーの輸送人員は、ここ数年減少傾向にありますが、一方で、高齢者や訪日外国人が増えており、「事前確定運賃」の需要は高まっています。タクシーを安心して利用いただくためにも、今後「事前確定運賃」のようなシステムは必要不可欠なものになっていくでしょう。

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