福祉系のタクシーには、大きく分けて「UDタクシー」、「福祉タクシー」、「介護タクシー」の3種類があります。それぞれに異なった特徴があり、お客様として乗車させられる対象や利用目的、サービス内容などに違いがあります。ここでは、福祉系タクシーに関してご紹介していきます。
「UDタクシー」とは?
UDとは、Universal Design(ユニバーサルデザイン)の略称です。ユニバーサルデザインとは、「年齢や能力、状況などにかかわらず、できるだけ多くの人が使いやすいように、製品や建物・環境をデザインする」ということ。
「UDタクシー」とは、セダンタイプが多い一般的なタクシーと異なり、ミニバンタイプで後部座席の天井が高く、乗車空間が広くなっているなど特徴があります。例えば、車いすの方がタクシーに乗車される場合、これまでのセダンタイプではいったん車いすから降りて乗車し、車いすはトランクに積んでいました。しかし、「UDタクシー」の場合、車いすに乗ったままタクシーへ乗り降りすることが可能となり、お客様にもドライバーにも便利になりました。また、車いすの方だけでなく、妊娠されている方、ベビーカーで小さなお子さんを連れている方、お年寄りの方、大きな荷物をお持ちの方など、すべての人に使いやすい乗車空間を実現しています。
近年、よく見かけるようになった「JPN TAXI」などがUD仕様となっており、都市部を中心に広がりを見せています。
「福祉タクシー」とは?
「福祉タクシー」とは、名前のとおり社会福祉目的で利用されるタクシーのことです。公共交通機関を利用しての移動が困難な方を対象としたサービスで、利用の際には予約が必要となります。ワゴンタイプのタクシーで、車いすやストレッチャーのまま乗り降りできるように、リフトやスロープが備えつけられているのが特徴です。後部座席のドアを開けてリフトで乗り降りするタイプや、トランク部分のバックドアを開けてスロープで乗り降りするタイプがあります。
なお、「福祉タクシー」と「介護タクシー」は名称や形状こそ似ていますが、厳密には異なるものです。「福祉タクシー」のドライバーには介護資格は不要ですが、「介護タクシー」のドライバーは、介護サービスも行うため、介護資格が必要になります。
「介護(介護保険)タクシー」とは?
「介護タクシー」とは、要介護者を対象としたタクシーのことで、車両自体は「福祉タクシー」と同様、リフトやスロープが備えつけられたワゴンタイプのタクシーです。介護保険を適用するため、乗車できるのは要介護者のみとなり、利用の際にはあらかじめ契約・予約が必要となります。なお、観光やレジャーにも使える「福祉タクシー」とは異なり、「介護タクシー」は病院への通院、行政機関や金融機関への移動など、利用目的が制限されています。
また、「介護タクシー」は、お客様を目的地までお連れするだけでなく、ベッドからタクシーの乗り降りの際の介助や病院内での移動もサポートします。そのため、「介護タクシー」のドライバーには、「二種免許」のほかに「介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)」が必要になります。