地域住民の生活の質を守る
「枝光やまさか乗合バス」

本日はインタビューをお受けいただきありがとうございます。
「乗合バスを運行している枝光地区は、交通密度日本一」と語る石橋社長に、「枝光やまさか乗合バス」についてお伺いしたいと思います。
まず初めに、「枝光やまさか乗合バス」の運行状況を記載します。

「枝光やまさか乗合バス」の運行状況

「枝光やまさか乗合バス」(福岡県北九州市八幡東区 枝光地区)
運行本数 8時40分~18時30分 56便/1日
日祝休み(年間約300日運行)
運行ルート 1周 15~20分(枝光、荒手、日の出、山王、山王・藤見)
運賃 200円(回数券 18枚3000円、ノリノリパス3500円/月)

株式会社光タクシー提供

それでは早速インタビューさせていただきます。「枝光やまさか乗合バス」とはどのような交通なのでしょうか?

「枝光やまさか乗合バス」はお出かけ交通として、交通手段に苦渋する地域の足となって運行しています。あくまでも、通勤通学のためではなく枝光地域の交通弱者を守ることが目的で、既成の路線バスと共存して計画されました。路線バスと競合してしまうと、それが不採算路線につながり新たな交通弱者を生むことにつながります。「枝光やまさか乗合バス」は移動に苦渋するお年寄りが近くのバス停や、近くの商店街まで出かける、地域のなくてはならない足として活躍しています。

今では「地域のなくてはならない足」として活躍している、枝光やまさか乗合バスの運行を始められたのはいつごろですか?

バスやタクシーは平成14年に法規制の緩和が行われ、新規参入や撤退が可能になり、全国的に路線バスの不採算路線の撤退が行われました。
“地域の足を守る”ことの必要性が重視されるなかで、「枝光やまさか乗合バス」は平成12年10月に運行を開始しました。

株式会社光タクシー提供

運行開始から20年以上地域の足として利用され続けている乗合バスを始めるきっかけや、枝光地区の地域の特徴を教えてください。

枝光の住宅地域の背景として、旧官営八幡製鐵所を職場として移り住んできた人々が、山間部の地域を切り開いて住まいとしてきました。そのため急こう配な坂道が多く、また入り組んだ狭い道が多いことが特徴です。さらに、高齢化も進む中で、移動が困難なお年寄りが日々のお出かけや買い物に苦渋する結果となりました。「枝光やまさか乗合バス」は、近くのバス停や、近くの商店街まで出かける方の足を守る移動手段となっています。

枝光本町商店街は今でも昔ながらの商店街で毎日賑わいを見せているとお聞きしています。現代ではシャッター街となり衰退していく商店街が多い中、どうして枝光本町商店街は今でも活気のある商店街として残っているのでしょうか?

枝光の地域には大型スーパーが2件あり、近くには某大手ショッピングモールも徒歩圏内に位置しています。そんな中で枝光本町商店街が生き残ったのは、「枝光やまさか乗合バス」があったからです。日本の商店街が衰退していくのは、行きたい人がいなくなったのではなく、行きたい人が行く手段を失っていったことが要因です。

株式会社光タクシー提供

「枝光やまさか乗合バス」は枝光で暮らす方々の移動手段を守っているのですね。日々のお買い物での利用が多いとお聞きしましたが、お客様同士や運転手さんとのコミュニケーションも、利用する上での楽しみの一つになりそうです。お客様の反応はいかがですか?

「枝光やまさか乗合バス」は、1日に200人、多い時では1日450人も利用されるお出かけ交通として発展しました。利用者は、やまさかバスが毎日の生活の一部となり、また電車や路線バスよりもドライバーや利用者同士の距離が近く、人と人をつなぐ乗り物になっています。ドライバーは利用者から、「商店街で安かったから」とすいかや大根などいろんな物をもらって帰ります。
「やまさかバスがあるからここに住めている」との声も多く、地域住民の生活の質を落とさないことに大きく貢献しています。

株式会社光タクシー提供

実際に乗合バスにも乗らせていただきましたが、運転手さんやお客様同士が和気あいあいと話している様子はとても印象的でした。地域住民の生活の質を落とさない、地域の足として愛される「枝光やまさか乗合バス」を運行する、光タクシー株式会社の石橋社長にお話しを伺いました。本日はお忙しい中ありがとうございました!

写真協力:株式会社光タクシー

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